企業における財務意思決定



○財務意思決定の役割

企業の目的とは、利益を追求し、その企業を拡大・成長させていくことにある。
企業の目的は利益や成長だけではない。しかし最終目的として言えば、結局はこれに行きつくと考えて、企業の目的をこれと設定する。
まず、実際の企業は何をやっているかというと、株主への配当や将来に備えての内部保留、あるいは地域社会への貢献や環境保護などが挙げられる。これらは利益があって初めて成り立つものであり、利益がなければ企業は存続することさえできない。つまり、世の中資金がなければ別の目的へと行動を移すことは容易ではない、ということである。会社に余裕があってこそ、いろいろな目的を見つけ、挑戦し、世の中に貢献することができるのである。
加えて企業の目的を資金という数値で表しておけば理解し易く、また把握のし易い。したがって、企業の目的が「利潤の最大化」と考えられるのは当然のことであり、また一番大切なことであるといえる。

以上のことを踏まえて考えると、財務意思決定の役割というのは、その『目的』とどう関係してるかを考えてやれば、理解することができるだろう。
財務意思決定というのは、「投資に関する決定」と「資金に関する決定」によって構成される、複合的な機能をもつものである。そして、投資をする際には、投資の対象の種類や規模に対してどのくらいの資金がかかるのか、またその資金をどうやって調達するのかなどを決定してやらないといけない。ここで企業の将来が決まるといっていいほど、とても大切なことなのである。なぜなら、これで企業の将来収益が決まるからである。これらの理由により、企業にとって財務意思決定というのは非常に重要な問題であるということは言うまでもないだろう。



○財務意思決定の環境

現代の典型的な法人企業において、その会社の所有者である株主は経営を専門的経営者に任せてることが多い。よって多くの場合、意思決定を行うのは専門的経営者、もしくは管理者である。
彼ら(専門的経営者)の目的は、企業の利益や成長を高めることはもちろん、それにらよって株主の利益に貢献することにある。
企業は株式や社債などの各種請求権を発行することにより、金融・資本市場から資金を調達する。その調達の条件はすべて金融・資本市場において定められる。企業にとって最も重要な資本である自己資本は株主によって提供され、その提供条件は資本市場において定まる。提供条件決定のための基本的な情報は、株主にもたらされる将来の利益である。
つまり、いかなる企業の場合であっても、財務意思決定においては株主の利益を最も重要視すると考えられる。また金融・資本市場における取引はその価格形成メカニズムによって定められており、財務意思決定にとって金融・資本市場というものが最も基本的な環境を形成していることが分かる。



○ 財務意思決定に影響を与える主な要因

財務意思決定に影響を与える主な要因には、大きく分けて二つある。それが「時間と経済価値」と「リスクと不確実性」である。
「時間と経済価値」とは、ほぼ全ての経済的意思決定に対し、時間と価値の関係が大きな影響を与えているというものである。例えば、投資をする際に複数の将来期間に見込まれるキャッシュフローを現在の時点で評価しなければならない点や、現在の時点で調達した資金を将来の数期間に渡り返済していく際につく利子率を考慮しなければならないという点が挙げられる。
「リスクと不確実性」とは、ある投資に対して将来のキャッシュフローを予測したとしても、それは決して確実なものとは言えず、その予想を上回る可能性もあれば下回る可能性も十分にあるということである。意思決定者は、これらのリスクや不確実性をどのように把握・処理していくかという問題を常に抱えているのである。